2008年09月28日

第13戦 ベルギーGP



ヨーロッパラウンドもいよいよ終盤となり、F1は伝統のコースでの2連戦を迎えました。まずは1周が7kmを超えるベルギーのスパ・フランコルシャン。昨今のサーキットの主流である中低速コーナー主体の「ストップアンドゴー」レイアウトとは異なり、高速から低速までバラエティに富んだコーナーとロングストレートの組み合わせに大きな高低差が加わっていて、近年の安全対策に対する改修を経てもなおドライバーにはチャレンジングなコースとして評判の良いサーキットです。その分、エンジンにかかる負荷は大きく、マシンには通常よりも高い耐久性が要求されます。また、コースの一方では雨が降っていても他方では降っていないという、俗に「スパ・ウェザー」と言われる天候への対策もレース戦略では重要なファクターとなります。

スタート前に雨が降り、路面がぬれた状況でスタートした決勝レースは、まさにそのスパ・ウェザーに翻弄された結果となりました。
ここ数戦精彩を欠いている一方でこのコースとは非常に相性のいいフェラーリのK.ライコネンが4番グリッドから上手くスタートダッシュを決めると、2周目にはポールポジションからスタートしたマクラーレンのL.ハミルトンが1コーナーでハーフスピンしたのに乗じて差を詰めるとその後の高速区間で一気に抜いてトップに立ち、そのまま後続との差を広げていきます。ハミルトンも何とか食い下がりますが、それ以上にライコネンのペースが良く、更に1回目のピット作業からコースに戻ったところで間に他のマシンが入ってしまったことでライコネンの先行を許してしまいます。
ところが、2回目のピットインでハード側のタイヤを装着したところからレースの流れが変わり始めます。それまで今一つペースが上がらなかったハミルトンの方がライコネンよりも速く、みるみる差を詰めていったのです。そしてレースが残り6周となったところで、レース前に降っていた雨が再び降り始めると両者の差は一気に縮まります。残り2周の最終シケインでハミルトンがライコネンのインに飛び込みますが、そこで抜けずにそのままシケインをショートカットしてライコネンの前に出てしまいます。現在のF1のレギュレーションでは、シケイン不通過で他車の前に出た場合は抜いた相手を先行させなければなりません。ハミルトンも一旦はライコネンを前に行かせるのですが…

短いホームストレートでライコネンが前に出たその瞬間、ハミルトンが加速の鈍ったライコネンに並ぶと第1コーナーで前に出てトップに立ちました。その後強くなった雨脚でぬれた路面にマシンを滑らせ、互いにコースアウトしながらトップを争う2台でしたが、ついにライコネンが最終コーナー近くでコースアウトするとそのままウォールに激突してリタイア(完走扱いで18位)となってしまいました。
ハミルトンはペースを落とすとそのままトップでチェッカーを受けますが、シケインショートカット後にライコネンをパスした行為に対して、レース後に25秒加算のペナルティーが課され、結果3位入賞となりました。(マクラーレンはこれを不服として提訴しましたが受理されず、レース結果は確定しました)ライコネンのリタイア後、ハミルトンと同じようにペースを落としてチェッカーを受けたフェラーリのF.マッサが繰り上がりで今季5勝目を挙げ、残り1周でウェットタイヤに履き替えて一気の追い上げで4台をごぼう抜きしたBMWザウバーのN.ハイドフェルドが同じく2位に繰り上がったのです。
ハミルトン(とマクラーレン)としては、一旦ライコネンを前に出してから抜いたのだからペナルティーには当たらないという考えなのでしょうが、シケインをショートカットして不当にアドバンテージを得たことでライコネンをオーバーテイク出来たというのがペナルティーの根拠であり、また他のドライバーもこのペナルティーには概ね肯定的です。確かにコースアウトという失態を見せたすぐ後にコーナーでインを差してライコネンを抜いたシーンはこのレースでの見せ場ではありましたが、2回目のピット作業後の両者のペースを考えると、あそこでオーバーテイクを仕掛けなくても他で充分に抜けるチャンスはあったと宗田は思いましたし、ハミルトンはカナダGPでのペナルティーとそれに対するコメントで少なからず心象を悪くしているわけですから、このような場面でもう少し慎重になるべきだったでしょうし、そうできなかった辺りが今後タイトル争いが大詰めを迎える中での彼のウィークポイントになりかねないと宗田は見ています。

何かすっきりしない結果に終わった中で、今シーズン初めて2台揃って予選でトップ10に残り、レースでもダブル入賞を果たしたトロロッソ(S.ヴェッテルが5位、S.ブルデーが7位)と、ハイドフェルドと同じくラスト1周でウェットタイヤに履き替えて4位を守りきったルノーのF.アロンソの走りの方が宗田には印象的でした。

そして、日本勢。
「雨が降ってくれれば他のマシンと何とか戦える」というような、あまりに情けないコメントをレース前に出していたホンダは、望み通りの展開になったもののJ.バトンは17番手スタートから15位完走、R.バリチェロは16番手からレース中盤でギアボックストラブルの為リタイアと、同様に雨が降ったイギリスGPとは対照的に全くいいところ無くレースを終えました。残念ながら現状では、上のチームを追いかけるよりも後ろに迫ってきたフォースインディアを抑えているだけで精一杯のようで、観ていて本当につらいです。
ホームレースの富士を控えて確実に調子を上げてきているトヨタは、T.グロックが13番グリッドから8位でチェッカーを受けながらライコネンリタイア時のイエローフラッグ(追い越し禁止)区間での追い越しがあったとして、ハミルトンと同様に25秒加算のペナルティーで9位完走とされ、J.トゥルーリは11番グリッドから見事なスタートダッシュを見せて第1コーナーでは4番手に上がったものの、その後最終シケインでブルデーに追突されたことでマシンバランスが狂ったようで、あとはペースが上がらずに16位完走に沈んでしまいました。恐らくは昨年同様に日本GPではいわゆる「富士スペシャル」を準備している事でしょうから、コンストラクターズポイント4位という現状をなんとか維持して、これから終盤に臨んで欲しいです。
前回ほんのわずかな差で予選トップ10入りを逃したウィリアムズの中嶋一貴クンは、今回予選最後尾の19番手から1回のピットストップ作戦で上位を狙いましたが、レース終盤の降雨に対する判断が上手くいかず14位完走に終わってしまいました。宗田が何度も言っているマシンパフォーマンスのムラで満足する走りが出来ないのはわかるのですが、まだどうしても予選で1発の速さが出せないところで下位グリッドからのスタートを強いられてしまっている事も否めない気がしますので、早く予選で周囲が目を見張る走りを見せて欲しいものです。

最後に宗田的に…伝統あるスパ・フランコルシャンサーキットを安全性の確保の為にコースを短くしようという案が出ているという噂があるそうですが、それをやったら絶対にドライバーから不評を買うだろうなぁ(苦笑)
posted by 宗田本一郎 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008年シーズン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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