F1は2週間の夏休みを挟んで、今季初開催となるスペインのバレンシアに舞台を移しました。ヨットの世界的なレースであるアメリカズカップも開催された港町を数年前からF1レースが行なえるように整備、普段は船が行き交う部分には旋回橋を設けるなどしてモナコとはまた違った雰囲気の市街地コースが出現しました。レイアウトを見た限りでは、市街地特有の細かい中低速コーナーがある一方で、モナコには無いロングストレートも見られ、コース上での追い抜きも期待できる感じがします。但し、チーム・ドライバー共に初めて走るコースなだけに事前のシミュレーションや他カテゴリーのレース時のデータを基にある意味手探りで戦略を立てなければならず、また普段は一般道として使われている分、路面が滑りやすい事から万が一セーフティカーが出たときの事も考えなければなりません。
開催中ずっと好天に恵まれた初開催の決勝レースを征したのは、ポールポジションからスタートのフェラーリのF.マッサでした。スタートダッシュよくトップに立つとそのまま後続を引き離し、そのままチェッカーを受けてバレンシアでの初のウィナーとなりました。前戦ハンガリーでは残り3周で無念のリタイアを喫しただけに、ポール・トゥ・ウィンといういつものパターンで鬱憤を晴らしたことでしょう。もっとも、2回目のピット作業時にフォースインディアのマシンが後ろから来ているにもかかわらずクルーがマシンをピットアウトさせてしまい、あわや接触という凡ミスを演じてしまい、危うく2戦続けて優勝をふいにさせるところでしたが(後にマッサにはおとがめなく、チームに罰金という裁定が下されました)
2位にはタイトル争いで現在トップに立つマクラーレンのL.ハミルトンが入り、確実にポイントを重ねました。レース序盤はマッサとのマッチレースを展開していましたが、今回は明らかにマッサのほうがレースペースが良く、最後まで捉える事が出来ませんでした。前戦で初優勝を飾った僚友H.コバライネンも4位入賞でしっかりポイントを獲得、コンストラクターズタイトル争いでフェラーリに9ポイント差にまで近づきました。
3位にはBMWザウバーのR.クビサがカナダでの優勝以来久々に表彰台を獲得し、こちらもこの数戦思うような結果が出ていなかっただけに、溜飲を下げたに違いありません。
それに対して、タイトル争いでマッサとハミルトンを追うK.ライコネンには何とも厳しい結果が待っていました。予選4番手からスタートで先行されたコバライネンと激しい接戦を繰り広げていましたが、2台同時に入った2回目のピットインで、まだ給油ホースが繋がったままマシンを発進させるという失態で大きくタイムをロスして順位を落とした上に、その2周後に前戦のマッサと同じようにエンジンがブローしてしまい、痛恨のリタイヤに終わってしまったのです。後にライコネン自身がスタートサインを見落としていた事を認めたという部分で、タイトル争いで思うようにポイントが獲得できない焦りがあったのかと思うのですが、それ以上にマッサのピット作業でのミスと合わせて、チームにどこか落ち着きが無いと感じるのは宗田だけではないはずです。今回のCS中継では、いつも辛らつなコメントをする川井ちゃんはもちろん、普段は冷静に解説をする今宮さんまでが、珍しく今回のフェラーリに対しては厳しいコメントを言ってましたし。
また、かつてM.シューマッハがチャンピオンの頃にドイツで2戦F1が開催されたのと同じように、地元で2回目のGPを迎えたルノーのF.アロンソは、オープニングラップで何とウィリアムズの中嶋一貴クンに追突されてしまい、こちらもリタイアに追い込まれてしまいました。春のスペインGPではフロントローからスタートもやはりリタイアに終わっていただけに、本人はもちろん詰め掛けた多くのファンにも残念な結果となってしまいました。
そして、日本勢。
今やコンストラクターズ最下位のフォーズインディアにさえ追いつかれかねない状況のホンダは、J.バトンが予選16番手から13位完走、ブレーキ等の交換でピットスタートを選択したR.バリチェロも16位完走と、今回も全く見るべきところの無い結果でした。ここまで低迷すると、チームのモチベーションは恐らく来年の巻き返しに移っているのでしょうが、逆に言えばもう失うものは何も無いのですから、日本の、そして世界のホンダファンの為にも意地を見せて欲しいと願わずにはいられません。
逆にすっかり中団グループ争いの中心となったトヨタは、J.トゥルーリが7番グリッドから5位入賞、前戦表彰台を獲得したT.グロックも13番グリッドから7位入賞と今シーズン3回目のダブル入賞を果たしました。シーズン序盤に先行されていたルノーやレッドブル、そしてBMWザウバーとレースで互角に闘って抑えるまでの実力がついてきたという点で、今後更に楽しみになってきました。
予選11番手という自身最高のグリッドからのスタートで、いきなりアロンソに追突してしまい、スペイン国民を敵に回してしまった(苦笑)中嶋一貴クンですが、追突後の緊急ピットインで順位を大きく下げてからは、レース終盤に最終コーナーでバリチェロをオーバーテイクしたのが唯一の見せ場となり、結局15位完走に留まりました。チームメイトのN.ロズベルグが久々に8位に入賞した点や予選最高位という点で、アロンソとのアクシデントが無ければ充分ポイントの獲得が出来たでしょうから、一貴クン自身にとってもアロンソ以上に悔しかったであろうと宗田は思いますし、今回の悔しさと経験をしっかり次戦以降のレースにフィードバックさせてもらいたいです。
最後に、宗田的に…今回の中継では、レースの合間に観客席やピットの美女のカットがやたら多かったのですが…そんなに市街地レースの華やかさを前面に出して、何がしたかったんでしょう(苦笑)
あと、サーキットについて「モナコとは違い、コース上でのオーバーテイクが見られる」との触れ込みはあっさり裏切られ、「退屈なレースだった」とまで酷評されてしまいましたが…まぁ、初開催でしかも市街地コースですから、各チームが慎重なレース戦略をとった結果と考えれば凡庸なレースになったのも致し方ないでしょうね(苦笑)
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